フランチャイズの資料を見比べていると、ロイヤリティの数字が目に入ります。3%のところもあれば、10%のところもある。つい「低いほうがよい」と考えてしまいますが、それは早計です。
同じ「5%」でも、何に対する5%かで、手元に残る金額は数倍変わります。定額制のほうが結果的に安く済むこともあります。
本記事では、ロイヤリティの3つの計算方式を、実際の数字を当てはめながら比べます。あわせて、ロイヤリティ以外に毎月出ていくお金についても整理します。
ロイヤリティとは何に対する対価か
ロイヤリティは、本部のブランド、商品、運営ノウハウ、仕入ルート、研修などを使わせてもらう対価として、加盟店が継続的に本部へ支払うお金です。
加盟時に一度だけ払う「加盟金」とは別のもので、営業を続けているあいだ、毎月発生し続けます。
| 加盟金 | ロイヤリティ | |
|---|---|---|
| 支払うタイミング | 契約時に一度 | 毎月 |
| 性質 | 加盟する権利の対価 | ブランドとノウハウの使用料 |
| 返還 | 原則として返ってこない | — |
| 金額の決まり方 | 契約で定額 | 方式によって変動する |
ロイヤリティの計算方式は3つ
どの方式を採用しているかは本部によって異なります。資料に「ロイヤリティ5%」とだけ書かれている場合、何に対する5%なのかを必ず確認してください。
| 方式 | 計算のしかた | 加盟店から見た性質 |
|---|---|---|
| 売上歩合方式 | 月間の売上高 × 一定率 | 最も一般的。売上が伸びるほど負担額も増える |
| 粗利分配方式 | (売上 − 原価)× 一定率 | コンビニなどで採用。原価の定義が結果を大きく変える |
| 定額方式 | 売上に関係なく毎月一定額 | 売れたぶんは手元に残る。売上が低い月は重い |
同じ数字でも手取りは変わる|計算例で比べる
分かりやすくするため、次の条件で比べます。実際の契約では原価率も率も異なりますので、ご自身の想定数字で置き換えて計算してください。
- 月間売上:300万円
- 原価率:30%(原価90万円、粗利210万円)
- 原価以外の経費(家賃・人件費など):150万円
売上歩合方式(売上の5%)の場合
300万円 × 5% = 15万円
売上から原価90万円、経費150万円、ロイヤリティ15万円を引くと、手元に残るのは45万円です。
粗利分配方式(粗利の5%)の場合
210万円 × 5% = 10万5,000円
同じ「5%」でも、売上歩合方式より4万5,000円少なくなります。手元に残るのは49万5,000円です。
定額方式(月10万円)の場合
売上に関係なく10万円。手元に残るのは50万円です。
ここまでは定額が有利に見えるが
注意が必要なのは、売上が想定より低かった場合です。売上が150万円に落ちた月で、同じ条件で計算してみます。
| 方式 | 売上300万円のとき | 売上150万円のとき |
|---|---|---|
| 売上歩合方式(5%) | 15万円 | 7万5,000円 |
| 粗利分配方式(5%) | 10万5,000円 | 5万2,500円 |
| 定額方式(10万円) | 10万円 | 10万円 |
売上が半分になると、歩合方式と粗利方式は負担も半分になりますが、定額方式は変わりません。売上150万円・原価45万円・経費150万円だと赤字ですが、それでも10万円は出ていきます。
つまり、売上が読める事業なら定額方式が有利、変動が大きい事業なら歩合方式のほうがリスクは小さいと言えます。率の高低ではなく、自分の事業の変動幅で判断してください。
粗利分配方式で必ず確認すること
粗利分配方式は、一見すると加盟店に有利に見えます。しかし「粗利」の定義が契約書でどう決められているかによって、実際の負担は変わります。
とくに確認すべきなのが次の点です。
- 廃棄した商品の扱い:売れ残って廃棄した分の原価が、粗利の計算から差し引かれるか。差し引かれない場合、廃棄しても粗利は減らない計算になり、ロイヤリティの負担が実態より重くなります
- 値引き販売した場合の扱い:値引きして売った商品を、定価で売ったものとして計算していないか
- 在庫のロス(棚卸差異)の扱い:原因不明の在庫減少を、誰が負担するか
これらは契約書の条文だけでは読み取りにくい部分です。具体的な数字を出して「この場合どうなりますか」と質問してください。即答できない担当者であれば、書面での回答を求めます。
率が売上によって変わる契約もある
売上の水準によってロイヤリティ率が変わる「段階制」を採用している本部もあります。
売上が伸びるほど率が下がる形であれば、加盟店にとっては頑張るほど有利になります。逆に、売上が伸びるほど率が上がる形になっている場合、売上を伸ばしても手取りが思ったほど増えません。
段階の区切りがどこにあるか、自分の想定売上がどの段階に入るかを必ず計算してください。区切りのすぐ下に想定売上がある場合、少し伸びただけで負担が跳ね上がります。
ロイヤリティ以外に毎月出ていくお金
ロイヤリティの率だけを比べていると、実際の負担を見誤ります。次の項目が別建てになっていないか確認してください。
| 項目 | 内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 広告分担金 | 本部が行う宣伝の費用負担 | 売上の何%か。定額か。使途の報告はあるか |
| システム利用料 | POSや受発注システムの利用料 | 月額いくらか。機器のリース料は別か |
| 研修費 | 開業後の継続研修 | 無料か有料か。参加は義務か |
| 指定業者からの仕入れ | 本部指定の業者からの購入 | 市場価格と比べて妥当か。他社から仕入れられるか |
| 店舗の賃料 | 本部が物件を持ち転貸する形式の場合 | 相場と比べて妥当か。更新時の条件は |
ロイヤリティ3%でも、広告分担金2%とシステム利用料が加われば、実質的な負担はロイヤリティ5%の本部と変わらないことがあります。比較するときは、これらをすべて足した金額で並べてください。
複数の本部を比べるときの手順
- 自分の想定売上を1つ決める:本部が示す数字ではなく、控えめな数字を1つ決めて全社に当てはめます
- その売上で、毎月出ていく金額を計算する:ロイヤリティ、広告分担金、システム利用料、その他をすべて足します
- 売上が7割に落ちた場合でも計算する:想定どおりにいかなかったときの負担を見ます
- 同じ表に並べる:率ではなく金額で比べます
この作業をすると、「率は低いが実質の負担は重い」本部が見えてきます。資料を眺めているだけでは気づけない部分です。
よくある質問
ロイヤリティの相場はどのくらいですか?
業種によって幅が大きく、一律の相場を示すことにあまり意味がありません。飲食・小売・サービスで構造が違いますし、同じ業種でも方式が違えば単純比較できません。相場を探すより、自分の想定売上で金額を計算するほうが確実です。
ロイヤリティが無料の本部は有利ですか?
その分がどこで回収されているかを確認してください。加盟金が高い、商品の仕入価格に上乗せされている、システム利用料が高い、といった形になっていることがあります。本部も事業である以上、どこかで収益を得ています。
赤字でもロイヤリティは払うのですか?
売上歩合方式と定額方式では、赤字でも発生します。粗利分配方式でも、粗利が出ていれば発生します。これは契約上の支払義務であり、業績が悪いことを理由に免除されるものではありません。減額や猶予の規定があるかは、契約書で確認してください。
途中でロイヤリティ率が変わることはありますか?
契約期間中は原則として変わりませんが、契約更新のタイミングで条件が変更されることはあります。更新時に条件を変更できる旨の条項があるかを確認してください。
交渉の余地はありますか?
大手チェーンでは、加盟店ごとに条件を変えないのが通常です。一方、立ち上げ期の本部や、複数店舗の出店を前提とする場合は交渉が成立することもあります。ただし条件を緩めてもらった分、他の面で不利な条項が入っていないかは確認してください。
まとめ
ロイヤリティを見るときのポイントは3つです。
- 率ではなく「何に対する率か」を見る:同じ5%でも、売上か粗利かで金額が変わります
- 売上が落ちた場合で計算する:定額方式は、売上が下がったときに重くのしかかります
- ロイヤリティ以外もすべて足す:広告分担金、システム利用料を含めた総額で比べます
契約書の他の確認項目についてはフランチャイズ契約前に確認すべき11項目にまとめています。加盟後に後悔しやすい点はフランチャイズで失敗する8つの理由で解説しました。
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