「WordPressで動画を配信したい」と考えて動画配信プラグインを探している方に、最初にお伝えしたいことがあります。
プラグインを入れただけでは、動画は配信できません。動画プラグインの多くは、再生画面の見た目を整えたり、再生位置を指定したりするための道具です。肝心の「動画ファイルをどこに置いて、どうやって視聴者に届けるか」は、別に決める必要があります。
ここを取り違えたまま進めると、プラグインをいくつ試しても動画が重い、途中で止まる、サーバーから警告が届く、といった問題にぶつかります。
本記事では、まず動画の置き場所を3つに整理し、そのうえで用途に合ったプラグインの選び方を解説します。会員限定で動画を配信したい場合の構成も紹介します。
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動画の置き場所は3つ。ここを先に決める
WordPressで動画を見せる方法は、突き詰めると次の3つしかありません。自分がどれに当てはまるかを先に決めてください。
| 方法 | 費用 | 向いているケース | 難易度 |
|---|---|---|---|
| ① 無料の動画サービスに置いて埋め込む | 無料 | 一般公開する動画。会社紹介、商品説明、ノウハウ動画 | かんたん |
| ② 動画配信サービスを使う | 月額あり | 会員限定、販売用。広告を出したくない | ふつう |
| ③ 自分のサーバーに置く | サーバー費用のみ | 数秒の短い動画。背景に流すループ映像 | 注意が必要 |
多くの方にとっての正解は①です。「自分のサイトで配信したいのに、YouTubeに置くのは違うのでは」と感じるかもしれませんが、動画ファイルの置き場所と、動画を見せるページは別のものです。YouTubeに置いた動画を自分のサイトに埋め込めば、視聴者は自分のサイトの中で再生できます。
方法①:YouTube・Vimeoに置いて埋め込む
動画ファイルをYouTubeやVimeoにアップロードし、そのページをWordPressの記事に埋め込む方法です。費用がかからず、再生も安定するため、まずはこれを検討してください。
この方法のよいところ
- 回線の心配がない:何人が同時に見ても、自分のサーバーには負荷がかかりません
- 画質が自動で切り替わる:回線の細い環境では自動的に画質を落として再生を続けます
- どの端末でも再生できる:スマートフォン、タブレット、古いパソコンまで対応が済んでいます
- 費用がかからない:YouTubeであれば無料です
YouTubeとVimeoの使い分け
| YouTube | Vimeo | |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 有料プランが中心 |
| 広告 | 表示される場合がある | なし |
| 再生後の表示 | 関連動画が出る | 出さない設定が可能 |
| 公開範囲の制御 | 限定公開はURLを知れば誰でも見られる | 特定のドメインでのみ再生を許可できる |
| 向いている用途 | 集客も兼ねたい動画 | ブランドサイト、採用ページ、資料動画 |
YouTubeの弱点は、再生後に他社の動画が関連動画として表示されうることと、広告が入る可能性があることです。会社紹介の動画の直後に競合の動画が出てくると都合が悪い、という場合はVimeoを検討してください。
なお、YouTubeの埋め込みには関連動画を抑えるパラメータがあります。具体的な設定方法はWordPressにYouTube動画を埋め込む5つの方法で解説しています。
方法②:動画配信サービスを使う(会員限定・販売向け)
「購入した人だけが見られる動画」「会員ページの中だけで再生できる動画」を用意したい場合、YouTubeの限定公開では要件を満たせません。限定公開はURLを知っていれば誰でも見られる状態だからです。URLが転送されれば、それで終わりです。
必要になるのは2つの仕組み
有料動画を守るには、次の2つを組み合わせます。
- 動画の配信元:ドメインを限定して再生を許可できるサービスに動画を置く
- ページの保護:ログインしている会員にだけ、動画を含むページを見せる
片方だけでは意味がありません。ページを会員限定にしても、動画のURLが直接わかれば外から再生できてしまいます。逆に動画側だけ制限しても、ページが誰でも見られる状態では意味が薄れます。
ドメイン制限ができる配信サービスを選ぶ
Vimeoの有料プランのように、「このドメインからの再生だけを許可する」という設定ができるサービスを選んでください。これを設定しておけば、動画のURLが漏れても、他のサイトに貼られた時点で再生できなくなります。
この設定の呼び名はサービスによって異なります。「ドメイン制限」「許可ドメイン」「Privacy - Where can this be embedded?」といった項目を探してください。
会員機能はプラグインで用意する
WordPress側では、会員登録とログイン、そして「ログインしている人にだけ記事を見せる」機能が必要です。これは動画プラグインではなく、会員制サイト用のプラグインの役割です。
小規模であれば、記事ごとにパスワードを設定する標準機能でも足ります。公開状態の設定についてはWordPressで非公開にする方法にまとめています。
方法③:自分のサーバーに動画を置く(基本的に避ける)
WordPressのメディアライブラリには、動画ファイルもアップロードできます。ただし数十秒を超える動画を共有サーバーに置くのは、ほとんどの場合おすすめできません。
避けたほうがよい3つの理由
- 転送量を大量に消費する:50MBの動画を100人が見れば、それだけで5GBの転送が発生します。レンタルサーバーの規約で転送量の上限が決められていることもあり、超えると速度制限や追加料金の対象になります
- 画質が固定される:YouTubeのように回線に合わせて画質を切り替える仕組みがないため、電波の弱い場所では再生が途切れたまま進みません
- アップロードの上限に当たる:サーバーの設定で、そもそも数MB以上のファイルを受け付けないことがあります
自分のサーバーでもよいケース
次のような場合は、自分のサーバーに置いても問題ありません。
- トップページの背景に流す、5〜10秒程度の音声なしループ映像
- アニメーションGIFの代わりに使う短い動画
- 社内向けで、同時に見る人数が数人に限られる動画
この用途であれば、ファイルサイズを数MB以下に抑えたうえで使ってください。動画も画像と同じく、サイトの表示速度に直結します。速度が気になる場合はWordPressが重い・表示速度が遅い原因と改善策もあわせてご覧ください。
動画プラグインは何をしてくれるのか
ここまで読んでいただければ、プラグインが担当するのは「配信」ではなく「再生」だということが見えてきたと思います。プラグインでできること、できないことを整理します。
| プラグインでできる | プラグインではできない | |
|---|---|---|
| 再生画面 | どの画面幅でもきれいに収まるよう調整する。再生ボタンの見た目を変える | — |
| 再生の挙動 | 自動再生、ミュート、ループ、再生開始位置の指定を設定画面から行う | — |
| 表示速度 | サムネイルだけ先に出し、クリックされてから本体を読み込む | — |
| 配信そのもの | — | 動画ファイルの保管、回線の確保、画質の自動切り替え |
| 権利の保護 | — | 動画URLの流出防止。これは配信サービス側の設定で行う |
つまり、「動画配信プラグイン」という名前の万能な道具は存在しません。まず置き場所を決め、そのうえで再生まわりを整えるためにプラグインを使う、という順番になります。
用途別のプラグインの選び方
埋め込むだけなら、プラグインは不要
YouTubeやVimeoの動画を貼るだけであれば、プラグインは要りません。WordPressの編集画面に動画のURLを貼り付ければ、そのまま再生できる形で埋め込まれます。まずは標準機能で試し、足りない部分が出てから追加を検討してください。
見た目と細かい設定を整えたい場合
複数のサービスの動画を統一した見た目で扱いたい、毎回パラメータを手で書くのが面倒、という場合は埋め込み用のプラグインが役立ちます。「Advanced Responsive Video Embedder」は、YouTubeやVimeoを含む多くのサービスに対応しており、再生開始位置やループなどを設定画面から指定できます。
自分のサーバーの動画を、きちんとしたプレイヤーで見せたい場合
短い動画を自分のサーバーに置いたうえで、再生位置の記録や再生完了率の計測までしたい場合は、「Presto Player」のような動画プレイヤー専用のプラグインがあります。
ただし繰り返しになりますが、プレイヤーを高機能にしても、配信の重さは解決しません。長い動画であれば、置き場所そのものを外部サービスに移すほうが確実です。
選ぶときの共通の基準
- 更新が続いているか:配布ページの「最終更新日」と「対応バージョン」を見て、1年以上更新されていないものは避けます
- 機能が重複していないか:動画プラグインを2つ以上入れると、どちらが効いているのか分からなくなります
- やめたときに戻せるか:ショートコードで動画を挿入するタイプは、プラグインを外すと記事中にコードだけが残ります
動画を載せるとページはどれくらい重くなるか
YouTubeの埋め込みは、再生していなくてもページを開いた時点で読み込みが発生します。1ページに動画を何本も並べると、表示速度の指標であるCore Web Vitalsに影響が出ます。
対策として効果が大きいのが、サムネイル画像だけを先に表示し、クリックされて初めて動画本体を読み込む方式です。遅延読み込みに対応したプラグインを使うか、1ページに置く動画の本数そのものを見直してください。
動画以外にも表示速度を落とす要因はあります。画像、プラグインの数、サーバー設定まで含めた切り分け方はWordPressが重い・表示速度が遅い原因と改善策で解説しています。
よくある質問
YouTubeに上げると、自分のサイトの価値が下がりませんか?
下がりません。動画の置き場所と、視聴者が見るページは別のものです。むしろYouTube側からの流入が増える分、接点が広がります。広告や関連動画がどうしても避けたい場合のみ、有料の配信サービスを検討してください。
動画をアップロードしようとするとエラーになります。
サーバーが受け付けるファイルサイズの上限を超えている可能性が高いです。この上限はPHPの設定で決まっており、サーバーの管理画面から変更できる場合とできない場合があります。ただし上限を上げたとしても、前述の転送量の問題は残ります。上限を上げる前に、そもそも自分のサーバーに置くべきかを考え直してください。
動画が途中で止まる、読み込みが終わりません。
自分のサーバーに置いている場合は、回線と画質の問題です。外部サービスへの移行が根本的な解決になります。YouTubeやVimeoの埋め込みで起きている場合は、視聴者側の回線か、ページ内に他の重い要素があることが原因です。
会員限定の動画を、どうしてもYouTubeでやりたいのですが。
おすすめしません。YouTubeの限定公開はURLを知っていれば誰でも再生でき、転送を防ぐ仕組みがないためです。有料コンテンツとして販売するのであれば、ドメイン制限のかけられる配信サービスを使ってください。
スマートフォンで自動再生されません。
多くのブラウザで、音声つきの動画の自動再生は制限されています。これは仕様であり、プラグインでは解決できません。自動再生させたい場合は、ミュートを有効にしてください。音声なしであれば自動再生が許可されます。
まとめ:置き場所を決めてから、プラグインを選ぶ
WordPressでの動画配信は、プラグイン探しから始めると遠回りになります。順番は次のとおりです。
- 誰に見せるかを決める:一般公開か、会員限定か
- 置き場所を決める:YouTube、Vimeo、配信サービス、自分のサーバー
- 足りない部分だけプラグインで補う:見た目、再生設定、遅延読み込み
一般公開の動画であれば、YouTubeに置いてURLを貼るだけで完了します。プラグインは、それでは足りないと分かってから入れれば十分です。
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